【漫画】ブラックジャックによろしく

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 また、漫画を大人読みしてました。今回は「ブラックジャックによろしく」。といっても、主人公はブラックジャックのような名医ではなく、新米の研修医で、手術なんてな~んもできないwセwワwミwフwン。

 この研修医が研修先で回る外科とか内科とかで起こるいろいろな事件をもとに展開されていきます。

 感想を一言で言えば、「酷い」。けど、素晴らしい作品だと思います。

 まず、主人公が「ブラックジャック」でない時点で何も変えられません。故に、全くもって救われない。読んでいくと吐き気がするくらい救われません。ですが、何もできない主人公が何かをしようとしていく姿には心うたれるものがあります。

 全編通して問われていくのがやはり「生」と「死」。例えば、物語の中でガン治療に対して対立する二人の医者が描かれています。その二人は中でこのような議論を交わします。

私は抗ガン剤そのものに反対です。

死は敗北なのでしょうか?

生きることが勝利で、死ぬことが負けだとしたら

人間は負けることしかできない生き物なのでしょうか。

人はいつか必ず死ぬのに・・・

言ってみれば、医学とは自然に逆らう不自然なものなのさ。

死に抗うのが医学・・・・・だとしたら

例え、副作用があろうとも、抗ガン剤を否定する医者は医者ではない。

 主人公はこの二人の相反する意見の間で苦しみまくります。で、答えを模索するんですが、その答えが果たして正しいのか??
ヒーローものなら、非常にわかりやすい。悪い人を良い人が懲らしめる。そのことに対して正しいと言うことに異論を挟む余地はほとんどありませんが、この物語では、主人公の答えが正しいのか、ということに対して答えは出ません。

 生と死という、ともすれば哲学にもなりうる問題に加え、物語では社会的な要因にまで話が向けられていきます。それに答えなんてなく、ここで、主人公と書いてきた人物が出す答えは必ずしも正解ではないのでしょう。

 むしろ、そういう問題が世の中には溢れていて、それを考えないようにしていることに対して問題を投げかけている気がします。

 ともあれ、「良い」か「悪い」かということより「考え」させられたということで、非常に感慨深い作品でした。レビューとかを見ると読むべきでないというような評価も多いですが、僕は読むことをお奨めします。ただ、読み終えて爽快感は全くないですが・・・